金氏先生からのメッセージ | |
「ヨシ開発プロジェクト」開始にあたって。 私がヨシ開発プロジェクトに関わり初めて丁度10年経ました。 今回「びわこ市民研究所」の中で学生たちと共に「ヨシ開発プロジェクト」を始動するにあたり、私が取り組んできたヨシのデザイン研究のこれまでをざっと振り返ってみます。 1992年に滋賀県ヨシ条例が定められました。条例の3本柱は、「ヨシを守る、育てる、活用する」と言われています。その中の「ヨシ活用」に特に着目し、取り組み始めたのが大阪のデザイナーグループ/D&Sデザインネットワーク(代表森田春昭)でした。私も、そのメンバーの一人として、10数名の仲間と、仕事の後、夜遅くまで地球環境とデザインについて、モノ作りについて、デザインの役割について、市民とデザイナーの関係について等々、白熱した議論をしたものです。当時はインターネット環境はほとんど整っていなかったので、直接メンバーが集まる活動が中心でしたし、通信手段もせいぜいFAXでした。1年間のグループでの研究の成果を1993年「考える葦」展(滋賀県立近代美術館)で発表しました。(このグループでの成果は93年度山形県グリーンデザインコンペで奨励賞を得ました) 最近ではヨシの活動について、発言する人も増え、色々な提案が具体化され始めていますが、10年前の私たちの活動は、大変先駆的なものだったと言ってよいと思います。 その後、D&Sデザインネットワークは、それぞれの仕事の都合などでグループでの活動は休止状態になりましたが、当時のメンバーの熱意と先見性に敬意を表し、その意志を引き継ぎ、研究成果を今回の「ヨシ商品開発プロジェクト」に活かしたいと思っています。私自身はその後もヨシのデザインについて関心を持ち続け、1996年〜1997年フィンランド留学中に北欧のヨシのデザインについて調べたり、日本のヨシ文化をフィンランドの学生やアーティストに紹介する機会がありました。昨年はフィンランドのデザイナーに呼び掛け、日本とフィンランド両国で「ヨシ文化展/フィンランド+日本」を開きました。ヨシの活用から始まった私の研究は、「ヨシの文化再発見」として発展し始めています。「ヨシ商品開発プロジェクト」では、「琵琶湖のヨシを通じて地球環境を考える」だけでなく、「地球の宝(文化)を見い出し、光を当てる」ことを、重視したいと思っています。このコンセプトは私自身の中では、「観光デザイン研究」での地域を活かすデザインに結びつくと考えています。また、今回のプロジェクトは、インターネット上での活動という点が10年前の私たちの活動形態とは大きく違います。活動形態の違いということを今回、体験を通じて見極めていきたいと考えています。これも、大変おもしろいテーマになると期待しています。 |
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