西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

  ヨシ博物館とは? 
第194回

「エコによしスタイル」研究会の1年の振り返りと今後について

2009年9月17日 菱川貞義
   

 明日(2009年9月18日)、ヨシ博士もメンバーに入っていただいている「エコによしスタイル」研究会第10回の集まりがあり、ヨシを活用した環境ビジネスなどによる「まちづくり」について話し合われます。その協議内容をみなさんとも共有したいと思い、ここに掲載しておきます。

■「エコによしスタイル」研究会の1年間の成果
●まちづくりを考える多様な主体がネットワークされました。
●昨年10月8日に第1回研究会を開催し、これまで9回の研究会を重ねました。
●社会実験として「よし博2009」を実施しました。
●「まるエコ推進事業と連動したエコポイント検討調査」を実施することができました。
●公募事業「地域資源∞全国展開プロジェクト」への応募・採択など、新しい動きが育っています。
●当研究会の動きが各方面から注目されています。

■流域エコポイントシステムの再整理(案)
「エコによしスタイル」研究会が柱のひとつとして力を注いできた「流域エコポイントシステム」はどんなものなのか、を当研究会として再整理(案)しておきます。

【目的】
「持続可能なまちづくり」を目的に、たんに元気再生のまちづくりとは異なる、意図されたまちづくり(エコなライフスタイルやエコビジネスによる元気再生)を目指す。

「流域エコポイントシステム」はそのための道具(意識改革)であり、国民運動支援としての道具(インセンティブ)でもあります。
※さらに、当研究会は、流域エコポイントシステム以外の道具の検討も行なう。

【概要】
CO2削減など割と明確な基準と、「もったいない」「おかげさま」など明確ではない基準、さらに流域ごとの複雑な環境評価を融合したエコポイント制度を構築(数値よりも感覚を優先)するため、民発により、NPO、行政、企業等を巻き込んだ「流域エコポイント協議会」を組織し、さらに広く地域住民を巻き込み、まちづくりにつなげるために、販促発想のエコマネーを地域社会に導入、定着させていく。

【エコマネーのしくみ】
1)エコマネーセンターが協賛各主体の販促経費やSR経費をもとにエコマネーを発行。
2)流域エコポイント協議会が定めたエコ行動を行なうことでエコマネーを獲得できる。
3)流域エコポイント協議会と契約した商品・サービス代金の一部または全部をエコマネーで支払うことができる。
4)エコマネーでの支払いを受けた団体はエコマネーセンターで換金できる。
※エコマネーの対価の一部は手数料としてエコマネーセンターが、運営維持費(人件費、エコマネー印刷・発行費など)として受け取る。
※用途限定なので地域通貨とは異なる。

企業、NPO、行政、個人など各主体のSRによるエコマネーの発行を、主に事業のスターターとして想定。(商品・サービスが充実するまで)
できるだけ広くエコライフ推進をとらえることで、その促進効果への対価を多様な主体にもとめていき、最終的には販促経費でエコマネーセンターを運営。
将来的にはブランド化して、エコポイント専用ショッピングサイト等の事業収入で雇用も促進する。

【エコマネー獲得対象候補例(案)】
●商品開発
ヨシの活用、農・商・工の環境負荷低減、エコツアー、商品外活用(段ボール、緩衝材、取説、、、)
●環境保全
ヨシを守る(ヨシ刈り、手入れ)、里山を守る、田畑を守る、森を守る、川を守る、景観を守る、、、
●環境整備
ヨシを育てる(面積の拡大)、里山づくり、農家づくり、、、
●商品・サービス購入
低環境負荷商品、地産地消商品、フェアトレード商品、環境教育、エコ農業者教育、食育、自然学習、、、
●企業活動
施設の緑化、従業員の通勤対策・環境家計簿づくり、社会貢献プロジェクトの実施、環境NPO活動への参加、、、
●日常生活
食の見直し、家庭菜園、ごみ対策、交通対策、環境家計簿づくり、環境NPOや企業等による社会貢献活動への参加、家庭の緑化、山遊び、川遊び、、、
●琵琶湖・淀川流域らしさによる持続可能社会への付加貢献
ヨシ、水、在来生物、伝統料理、伝承遊び、地域文化への親しみ、、、
など

【エコマネー用途】
●環境配慮商品・サービス
●地産地消特産品
●エコツアーコンテンツ
など

【社会実験「よし博」が具体的に目指していること】
●地域資源(ヨシ等)を活用したコミュニティビジネス、環境ボランティア活動への参加促進(エコチャレンジの一部)による琵琶湖・内湖の水質保全。
●エコによしスタイル研究会が考える一般生活におけるエコチャレンジ(「私のチャレンジ宣言(市民)」+滋賀県・湖国まるごとエコ・ミュージアムづくり事業の「まるエコ宣言(市民、NPO、企業)」、地域伝統・文化の尊重)の推進。
●エコチャレンジを推進するインセンティブとして開発した「よしマネー」の日常ビジネス化。
●エコポイントによる国民運動支援ビジネス協議会のネットワークを活用し、企業との協働による新しい衣・食・住・教育関連のヨシ商品・地域特産品の開発。
●エコポイント対象項目や、ポイントで購入できる商品のPR。

■流域エコポイントシステムによる社会へのインパクト
「流域エコポイントシステム」が解決の糸口になると感じている課題や問題
●低炭素社会づくりへのムーブメントが住民レベルで未だ盛りあがりに欠ける。
●現在、国や科学者が認めているCO2削減アクション以外の削減効果のある取り組みの救済。
●まちづくり力のある地域通貨制度の社会合意と受け入れ。

「わからない」ことに配慮しながら制度化しないと実効性(たとえば、まちづくり)は弱いのではないか。(実社会は下記のように複雑)
・自給率の向上のために、農薬、肥料、スーパー雑草、輸入、耕作地、担い手、栄養、技術などの影響をどう計るか。
・上流から見た問題と下流から見た問題のちがい、下流の問題は下流だけでは解決しないという問題。
・治水と親水のどちらを満足させるか。
・ベストな水位は存在するのか。
・経済指標、生態指標、社会指標だけでは語れない。文化、景観、幸せ、といった指標も。
 (さらに宗教観とか、、、)

■流域エコポイントシステムのモデルである、よしマネーを日常生活に定着させたい
(月に1日の定着からでもいい)

みんなから60点がもらえる「流域エコポイントシステム」が、よしマネーです。
みんなが100点を目指すと、誰かにとっては100点だけど、誰かにとっては0点になる。
みんなが共有できるものは何だろうか?
みんなが愛せるものは何だろうか?
きれいな水? 琵琶湖や西の湖流域で考えると、ヨシ。
自分を勘定に入れるのは60点ぐらいにして、まず、ヨシによいことをやってみる。
そんな、よしマネーをみんなで育て、みんなで回していく。
人の交流も、経済も回っていく。

■「安土エコによし!西の湖ヨシ・プロジェクト」について
「地域資源∞全国展開プロジェクト」で採択された「安土エコによし!西の湖ヨシ・プロジェクト」によって、次の項目の受け皿体制(よしマネーの活躍の場づくりでもある)を、当研究会ネットワークを中心に構築する。
(さらに来年、再来年と、ステップ〜ジャンプを促進する公募事業への応募の検討も)

●エコによしなブランド・商品・サービスの開発(特産品、エコツアーコンテンツなど)
●エコによしなまちづくりビジネス事業組織づくり(LLP?)
●エコによしなまちづくりビジネス会員づくり(応援組織)
●エコによしなまちづくりビジネス事業パートナーづくり
※マック・山阪さんが、エコによし事業を紹介するパンフレットとウェブページを制作準備中です。

【具体的想定事業】
・農産事業(無農薬・無化学肥料の米、マコモ、野菜、雑穀、、)
・レストラン・旅館事業
・石窯工房tetote(石窯料理体験)
・ショップ事業(よし商品ほか)
・よし商品開発(よし茶、よしだんご、よしパン、よしスイーツ、よしペレット、よし堆肥など)
・ワンデイ・エコツアー事業(観光事業)
・環境和船、カヌー
・サイクリング
・自然農事業(自然と共生する、在来の種を守る、私の田んぼ、田んぼと畑の農体験)
・馬牧場
・スタジオ「エコによし」事業(アーティスト、地域ジャーナリスト)
・雇用の創出、障害者の自立支援
・文化事業、伝統事業

■今後の「安土エコによし!西の湖ヨシ・プロジェクト」ほかの予定
9月15日 ロケーションジャパン(安土エコによし!西の湖ヨシ・プロジェクト掲載誌)発売
9月26〜27日 石窯づくりワークショップ (よし灯り展)
10月18日 第1回「エコによし」日曜市、石窯お披露目(石窯工房tetote)
10月21〜23日 琵琶湖ビジネス環境メッセ
11月1日 ふれあい秋まつり
11月15日 第2回「エコによし」日曜市
12月13日 ヨシ刈り
12月20日 第3回「エコによし」日曜市、ヨシ刈り
1月17日 第4回「エコによし」日曜市、ヨシ刈り、餅つき大会
2月2日〜5日 ギフトショー
2月20〜21日 ヨシ刈り
2月21日 第5回「エコによし」日曜市、よし博2010

■当研究会の2年目はどのように活動していくか?

 
(つづく)

西川さんの過去の記事はこちら
「これまでの実績」