西川嘉廣さん
西川嘉右衛門商店会長

 
 
  ヨシ博物館とは? 
第133回

ヨシ原がもたらしてくれるもの

2005年6月16日 菱川貞義
 安土町役場の堤さんから、5月21日にヨシの青刈りをしたときの写真を提供していただきました。

 ネガフィルムからスキャニングしたのですが、なぜか、西の湖の雰囲気にぴったりな感じの写真になっています。でも、インターネットはデジタルの世界なので、もともとのアナログ写真をそのまま再現できないのが残念です。

 青刈り実験の2年目となる今年は、昨年より1ヶ月はやい4月に1回目を行ない、この日が2回目の青刈りです。

 右の写真は4月下旬に青刈りをしたところです。1ヶ月でこんなにヨシが成長しています。はやい時期に青刈りしたところは、こうして再びヨシは立派に成長します。

 青いヨシの商品化を目指すとともに、うまく2度成長すれば、水浄化能力もアップするのでは、と期待されています。

 さて、東近江水環境自治協議会のメンバーによる青刈りの開始です。この時期のヨシはすでに大人と同じ背丈に成長しています。

 7月までには4メートル以上になるのですから、ヨシのパワーはすごいものがあります。

 いやいや、もう大人もすっぽり隠れてしまうくらい成長しています。いくつも実験区画を設けて、さまざまなやり方で青刈りをしています。今年もおもしろいデータがとれるでしょう。

 さっきから気になっているのですが、日本人のような、外人のような子どもがひとり大人に交じって作業しています。それが妙に絵になっています。この子どもを指か何かで隠してみてください。ちがいがわかります。

 作業を終えて帰路につく大人たちとひとりの子ども。やっぱり妙に様になっています。ヨシは水を浄化したり、くらしの道具になったり、薬や食べ物になったりしますが、ぼくがいちばん大切に思うのはヨシ原そのものです。ヨシ原のなかにいると、それだけで何か幸せを感じます。かけがえのない自然を感じることができます。「ぜったいにヨシ原をなくしてはならない」とつい力が入ってしまいます。ヨシ原だけではなく全国にはこのような風景がいっぱいありますが、みんなもっと自然のなかに入って親しんでほしいと思います。

 今年の実験ほ場への交通手段は舟を使います。西の湖にぽっかり浮いた島になっているところで、歩いては行くことができません。こうして舟でのんびり語らいながら往来するのも、人間にとって大切な風景になっています。

(つづく)