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大谷利男さん 住民活動促進委員会 委員長(野洲町) |
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第4回 住民の意識を変えるために | ![]() |
2003年3月27日 畑佐 実 |
─── 住民の意識が変わってきたという手応えを感じてますか? 難しいですね、変わってる面もあるやろし、依然として変わらないというところもあると思うけれども。例えば、野洲に〈青少年育成会議〉という組織があって、そのなかのひとつの〈青少年啓発部会〉を、私ら〈老人クラブ連合会〉が担当しているんです。そこで、子どもを健全に育成するために〈老人クラブ連合会〉はどんな啓発活動をすればいいのかと考えました。行事的な面やけど去年はわら細工を子どもたちに教えたんですよ。すると子どもたちは喜んでね、お母さんたちも一緒になって草履やとか色々なものをわらで作ってね。NHKが取材に来てくれて、ニューススポットでも出してくれたんです。またある年は野洲小学校で室内オリンピックという名前をつけてスポーツをやったんですよ。それもお母さんらが来る。そういう行事を通して子どもが変わる、子どもが喜ぶ。それが親も満足できる。子どもとの関わり方でひとつのスタイルができたんではないかと思います。 野洲小学校では総合学習の時間を“わくわく”という表現で各学年取り組んでいるんです。そのなかで1年生のテーマは“わくわく昔遊びを教わろう”です。高齢者が子どもの時に遊んだことを、孫のような子どもたちに教えることができる。子どもはね、おじいちゃん、おばあちゃんのことが好きで、昔のことを言うてもらうのが好きなんですよ。一緒に遊んでもらえるし、それで老人もいきいきしてくる。子どもたちも非常に楽しめる。これはものすごくいいことだと思うんです。 それも、ある一日のイベント的な行事ではなく、ずっと継続して行っているんです。まず学校で“昔遊び”をおじいちゃん、おばあちゃんたちに習おうということで事前学習みたいなことをやっておくんです。昔遊びのいろいろな遊び道具を見せて話をして、子どもたちが意欲が高まってきた頃に、竹トンボやメンコ、まりつきとかいろんな遊びを全部体験できるようにしたんですよ。そしてそのなかで特に自分の気に入った遊びだけを後日、一所懸命やる。そして「昔遊びの名人にチャレンジしよう」という目標を掲げ、自分の好きな遊びを練習しておいて、それを発表するんですよ。 |
─── 子どもたちにとっては、生きた環境学習になってますね。 何でこんなこと話したかというと、子どもが家に帰って、お母さんに「今日はおじいちゃんとこんな遊びをしたんやで」とか言うやん、そういうことが刺激になると思うんですよ。子どもたちを通して、PTAという組織の中でも活気づいてくるひとつの要因になると思うんです。先ほど言うたように室内オリンピックでは子どもが50人来るとしたら保護者も50人、合計100人の集客になるわね。そんなことで活気づいてくるもんです。 |
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今、私が関わっている範囲では、何かを投げかけると、それをキャッチする誰かがいると実感しています。そういう姿が見えてくることが、住民が変わってきたと感じる要素ですね。やって良かったという満足感を得るし、それがひとつのエネルギーみたいなものになっていくんですよ。少なくとも〈老人クラブ連合会〉はこういうことがエネルギーになっています。 ─── 大谷さんはこの〈老人クラブ連合会〉ではどういう関わりをもって参加しているのですか? 私は〈老人クラブ連合会〉の教養部会長をしておりまして、行畑第1地区の会長でもあります。ちょっとPRみたいなことになるんですが、定期的に教養講座を開いているんです。私が関わっていることしか言えないのですが、そのなかで老人が変わってきていると感じたことを言おうと思います。住民のみなさんに「教養講座に参加して下さい。」と言うて頼んでるんですよ。いつも150人くらいはだいたい集まってくれます。それでね、やっぱり喜んでもらってるんですよ。講師の先生を吟味して来ていただいているんですが、いい話やいい話やいうてここ数年来、教養講座の評価が高まってきています。 今日もね、講演にいって来たんですけど、帰り際に見送ってくれた人たちが今度教養講座に行くと言うてくれはるんです。私は何にも言うてないんですよ。出席することを伝えてくれるんです。教養講座に期待をもち、ぽっと言葉が飛び出すというのはその人なりに意欲が出てきているのやと思います。それが今までのようなやり方では変化はなかったやろうと思うんです。教養講座は年3回やっているんですが、来てもらった人は充実感を得て、今度またあったら行こうと思うわけですね。そういうことが住民の意識の変わりようではないかな。 さっきの子どもたちの話でも「おじいちゃん、また遊びに行っていいか?」と尋ねてくるんです。「そら、ええよ。」とおじいちゃん自身も喜んで。昔遊びのある日ある場所が設定されたことによって子どもと心がぐっと結びつきます。それで実際に遊びに来るらしい。やっぱり人間関わらなあかん、“関わり”ということはものすごく大事なことやと思う。関わっているからこそ、住民活動についてある程度予測なり実績も踏まえてものが言えると思う。 |
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