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大谷利男さん 住民活動促進委員会 委員長(野洲町) |
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第6回 視野を広げて能力を活かす(その1) | ![]() |
2003年4月10日 畑佐 実 |
─── 働き盛りで所得の低い人たちに住民活動に参加しようと呼び掛けても、なかなか現実的に困難です。ちょっとあいた時間にその人の持ってる能力を地域に役立ててもらおうとするなら、ある程度予算が必要じゃないかなと思うんです。 私もそう思います。というのはやっぱり今の世の中まるっきり無報酬で忙しい時間を割いて、たとえ2時間でも〈ほほえみ情報交流センター〉へ行くということになればやっぱり抵抗がありますよ。私みたいなリタイアしたもんはある程度時間見つけてあそこに行ってどうということも感じないけど、やっぱり現実に若い人であったり現職であったりするとやっぱり重荷になってくると思う。 |
─── なぜかといいますと、いちばんの宝は“人”だと思うんです。今の社会、優れた技術が活かされていないとか、得意なことができず、収入を得るために苦手なことをいやいやしている人がいっぱいいます。そういう人たちに活躍できる場が必要だと思うからです。人という豊富な資源を有効に活かしていくことが住民活動では大事なことだと。 まさにそのとおりなんです。例えば最近学校と一般社会人との交流といういうことで、いろんな人が授業に入ったりすることあります。総合的な学習という形態で、いわゆる先生対生徒ではなくて技術者とかスポーツ選手であるとか外部からいろんな人たちから話を聞くと子どもたちも視点も変わっていくだろうし、子どもたちの気持ちも触発される。そういうのは大事なことやと思うね。それは一般の大人においても理念は一緒やと思う。やっぱりちょっと我々が囚われの意識から解放されたら視野は広くなりますよ。実は今日の講演のとき最初にこう切り出したんです。 〈父親とその息子が道を歩いていて大型トラックにひかれました。父親は即死で、重体の息子は病院へ運ばれた。ところが身元を確認した外科医が「これは私の息子だ。」と声をあげた。〉 |
こんな話を出したときに「おかしいやないか」という人が大勢いるわけですよ。どこがおかしいのやというと、外科医がおかしいという。「お父さん死んでるやろ。病院行って、ここにもお父さんいたらおかしいやないか」と、こうなるんですよ。今日は女の人が割に早く気がつきました。「それはお母さんと違うか」と。外科医が母親やったらつじつま合うんですよ。お父さんやと思ってるばっかりにこうなるんです。つまり外科医は男やと思い込んでいるんです。それで今日のテーマは“思い込み”から入ったんですよ。思い込みというものがいかに視野を範囲を狭めているか。だから思い込みを取り払って頭を柔軟にしないと見える物が見えないんですよ。そのようなところから、生き甲斐の話をしたんです。やっぱり住民の意識を変えていくということについて、物事を良く考える機会を持つことが大事やと思う。 | ![]() |
障害のある方や高齢者の方に関わってボランティア活動をやってる団体もありますが、素養があるのとないのとでは対応の仕方がすごく変わるんです。例えば「これ栄養があるから食べてや。元気つけなあかんで。」とガンガン食べさせようとしても、受けつけなんだらあかんわな。こっちの者が一所懸命言うたところで、本人は食べられる状況やなかったら、状況をしっかりと分析して考えていかなあかん。考えてみたらその人の胸につっかえている心配事とか心理的な面があるのやということがわかる。もっと気持ちを楽にしてやろうとか、心開いてやろうとそっちへ考えが行く。そのように対処すれば、食べるようになるかもしれん。今言うたように、食べるという行為そのものが生理的なものやとだけ見てたらあかんわけやな。心理的な要素があると。そこらを心得ている人とそうでない人とでは全然違うと思いますよ。だからそういう意味でもそれぞれの活動に応じたひとつの力量を付けていく。これが大事なことやと思う。 ボランティア活動のことを言うてますけど、例えば野球だって単に技術だけやないがな。精神力が大きいわな。点を取られて気持ちが委縮するようではあかんし。何としてもがむしゃらになってやっていくとか。技術・技量というものがあるけど、支えてる精神力というものがすごく大きいと思う。野球の監督あたりはええこと言うがな。チームに対して信念・信条をびしっと選手に教えていく。そういうことで監督と選手の気持ちが一緒になって強くなってきよる。 そういうような意味において住民活動の力量をつけていくためには、活動そのものが単なる行事の消化ということじゃなく、かなり意欲的に関わっていく必要があります。お互いの支え合いを大事にしていくとかね。そうなってくるとリーダーが重要なんです。監督の話をしたけど。リーダーがしっかりしてくると、団体そのものがしっかりしてくるし活気を帯びてくる。 |
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