大谷利男さん
住民活動促進委員会
委員長(野洲町)

第9回 住民活動の応援団長は走る
2003年5月22日 畑佐 実
─── 住民の皆さんにはどんなことを望んでいますか。

 私はね、行動主義というかね、「もっと動きなさいよ」ということがひとつの核になってるんです。単なる批評家になっててもあかん、何でもいいから一緒にやろうと呼び掛けていきたい。そういうことのために組織を作っていけたらと思います。それは、“行動”やと思うなあ。難しい哲学的な座右の銘やとかそんなのは持ちません。けれども一言だけの心にきちっと収まっているのがね「逃げたらあかん」ということなんです。私はそういう考えなんです。人に頼まれたらNOが言えない、いわゆるイエスマン。それいけドンドン主義ですわ。

 私がそういう考えやから、いろんなところに顔を突っ込んでいくんですよ。いまさら枝葉を切れないような状態になってます(笑)。それだけに私を知ってる人は多い。野洲町ではどなたも知ってますよ。「こんにちは、こんにちは。」と言われてる私は「あの人誰やったかいな」とどんな関わりがあったんやらわからんのやけど、私が知られる存在になってしもてるんですわ。それはかまわんけどね。要するに頼みやすいから、何でもいうてきはるんです。ほんとうは断ったらええんやけど「やれることはやったらええ」というのが私の信条やから引き受けるんです。それで私の手帳は真っ黒です。あっちこっち顔を突っ込んでいるというのは、今言うたような「逃げたらあかん」という思いが、いつのまにかそうなってしまったわけです。別に売名的なことではなく、動けたら動くということです。これが私の長所かもわからんけど、かなり欠点でもあると思ってますよ(笑)。ひとつのことに打ち込むことができないんですよ、追求できない。でも私はそれでかまへんと思ってる。それだけにおもしろい関わりがいっぱいできるんやから。人生おもしろいですよ。

─── そういえば、〈かいつぶりの会〉という腹話術の団体の代表もされていますし、他にもいろいろやってますね。
 〈かいつぶりの会〉は腹話術が中心ですけどね、このメンバーも今17名います。毎週勉強会をしています。ほんとうにおもしろいですよ。それに私は〈野洲おはなしの会「夢ふうせん」〉のメンバーでもあるわけです。ここもすごく活躍してますよ。学校や幼稚園、保育園などに依頼されると“おはなし”をしに行きます。この2月はね、子育て支援の活動で動いています。最近、子育ての問題いろいろあるでしょ。もっと子どもを豊かに育てていくという一翼を担ってます。
住民活動促進委員会の定例会議では議長を務める
 私自身はね、ほんまは数を減らして打ち込めるものを作ったらいいのやけど、何でも見てやれ、やってやれ主義だから。そのかわりいろんな世界が見られるおもしろさがあるんです。

─── それらのすべてが大谷さんの学びの場になっているんですね。

 そうです。私は〈G−NETしがフェスタ〉の準備をしながら野洲小学校の“昔遊び”のことを話してたんです。そしたら別の実行委員の方が「これはおもしろい。ぜひ参加したい。」と。それによって野洲小学校に見学に来られると、野洲小学校も広く門戸を開くという効果があります。その人は意欲的にやってくるから、またおそらくどこかで喋るでしょうから、それがまた刺激になって、どこかの学校がそういうスタイルでやられたらいいですね。地域には誰かスピーカーがいるわけよ。私はスピーカーになってええと思っています。意欲のある人に声が届けば、うちでもやってみよか、となるわけです。まねしたっていいんですよ。学ぶということは、まねすることから始まったんやから。そのうちに落ち着いてきたら本物の自分のカラーが出てくるがな。難しいこと言わんでもいいと思う。自分なりの動きでええ、動けば動いただけ何かが見えてくる。そして何かが変わってくると思いますよ。

 人はよく「大変やなあ」と言うでしょ。「先生、忙しいやろ、大変やなあ。」私はしょっちゅう言われる。「忙しいのを楽しんでいるんや。」と応えるんです。それも逃げないということです。自分のやってること全て楽しみでやっているんです。人に「あれやれ、これやれ」と言われてたんでは、とイヤイヤやらなあらん。イヤイヤやるんなら、やらんほうがええ。楽しんでやればええんや。これでいいんですよ。

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